アステラス製薬株式会社(本社:東京都中央区、社長:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)とユーシービージャパン株式会社 (本社:東京都新宿区、社長:ジョエル・ピーターソン、以下「ユーシービージャパン」、また、ユーシービーグループを総称して以下「UCB」)は、両社で共同開発・商業化を進める、PEG化*1抗TNF-α(腫瘍壊死因子α)抗体「セルトリズマブ ペゴル」(一般名、日本での製品名「シムジア®皮下注200mgシリンジ」、以下「シムジア®」及び欧米での製品名Cimzia®)の関節リウマチを対象とした国内臨床試験(J-RAPID及びHIKARI試験)の成績を基に追加解析を行いComprehensive Disease Remission(CDR)*2、および長期的な身体機能及び健康関連QOL改善効果について、2014年4月24、25、26日に東京で開催された日本リウマチ学会総会・学術集会にて発表しましたのでお知らせいたします。
    セルトリズマブペゴル(Certolizumab pegol, CZP)の関節リウマチに対する有効性を、高疾患活動性の患者で関節リウマチの治療目標である臨床的寛解(DAS28(ESR)<2.6)、機能的寛解(HAQ-DI≦0.5)、および構造的寛解(年間mTSS増加量≦0.5)のすべてを満たすCDRを指標として評価しました。2つの24週間の二重盲検比較試験において、CZPを投与された患者ではプラセボを投与された患者に比べて顕著に高いCDR達成率が得られました。引き続き実施された非盲検下での継続投与試験においても、52週目ではさらに高いCDR達成率が認められました。関節リウマチ患者に対して、CZPの長期投与は、長期的なCDR達成率を高めることが示唆されました。
また、CZP投与による身体機能及び健康関連QOLに対する改善効果が評価されました。身体機能はHAQ-DI、および健康関連QOLはSF-36*3(MOS 36-item Short Form Health Survey)を用いて評価が行われました。その結果、二重盲検比較試験においてCZPにより改善した身体機能、健康関連QOLは、いずれも52週間の継続投与試験中改善が維持されました。すなわち、CZPは患者のQOL維持に有効であることが示唆されました。
シムジア®は、世界初のPEG化抗TNF-α抗体医薬品です。本剤は、関節リウマチなどの炎症性疾患の発症や悪化に関与するTNF-αに強い親和性を示し、TNF-αの作用を選択的に阻害します。本剤は、ヒト化抗体のFc部分を除いたFab部分*4にPEGを結合させることで血中半減期が延長されるため、関節リウマチ治療において2週に1回あるいは月1回の皮下投与で効果を示します。本剤は、既に海外臨床試験においてメトトレキサート(MTX)併用で、導入治療及びその後の維持治療において速やかに症状および徴候が改善し、その後も効果が維持されることが確認されています。また、関節の骨破壊の進行を抑制することも明らかにされています。シムジア®は、関節リウマチ患者さんが使いやすい形状に配慮したプレフィルドシリンジで、医師により適用が妥当と判断された場合には、自己投与も可能となっており、有効性、安全性に加え、患者さん自身による使用にも配慮した製剤で、関節リウマチ患者さんの症状改善、QOL及びアドヒアランス*5向上に重要な役割を果たすものと期待しています。
アステラス製薬とUCBは、2012年1月にシムジア®の日本における共同開発・商業化契約を締結しました。シムジア®は、同年12月にユーシービージャパンが日本において製造販売承認を取得し、2013年3月に発売されました。シムジア®は、米国ではクローン病や関節リウマチの治療薬、欧州やその他の地域においては関節リウマチの治療薬として、「Cimzia®」の製品名でUCBが販売しています。
*1: 抗体をポリエチレングリコール(PEG)で修飾すること
*2: DAS28(ESR):関節リウマチの疾患活動性をスコア化した指標、mTSS;X線画像による関節構造破壊の程度をスコア化した指標、HAQ-DI:関節リウマチ患者の身体機能障害をスコア化した指標のすべてを満たす総合的な疾患寛解の状態
*3: SF-36:健康関連QOL(HRQOL)を測定するための、科学的で信頼性・妥当性を持つ尺度。米国で作成され、現在、120カ国語以上に翻訳されて国際的に広く使用されている
*4 抗体はY字に似た構造を持ち、上部のFab(抗原認識部位)と下部Fc(補体結合部位)に分かれている
*5: 患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること
