TIと Delta Electronics 、電気自動車向けオンボード チャージャの推進に向けた提携を発表
左から右へ:Delta Electronics の James Tang 氏(左)と TI の Amichai Ron(右)

テキサス・インスツルメンツ (TI) は、次世代の電気自動車 (EV) 向けのオンボード チャージャや電源ソリューションの開発において、電源およびエネルギー管理分野のグローバル メーカーである Delta Electronics との長期的な提携を発表しました。本取り組みでは、台湾の平鎮 (ピンチェン) にある共同イノベーション ラボでのパワー マネージメントおよび電力供給分野における両社の研究開発能力を活用します。TI と Delta は協力して、電力密度、性能、サイズを最適化し、EV の安全性、高速充電、低コスト化の実現とさらなる加速を目指しています。

「EVへの移行は、より持続性の高い未来の実現に役立つ鍵です。また、TI は Delta Electronics との長年にわたる提携を通じて、そのための堅固な土台を築いてきました」と、TI の組み込みプロセッシング担当シニア バイス プレジデントを務める Amichai Ron は述べています。「私たちは Delta と協力し、TI の半導体を使用してオンボード チャージャや DC/DC コンバータのようなより小型、より高効率、より信頼性の高いEV の電源システムを開発し、自動車の航続距離延長に貢献するEVのより広範な普及を促進していきます」

「Delta は 2008 年以来、高効率な車載電源製品、システム、ソリューションの開発に携わり、交通における炭素排出量の削減に貢献してきました」と、Delta Electronics の電気自動車ソリューション事業グループ統括 兼 モビリティ担当エグゼクティブ バイス プレジデントである James Tang 氏は述べています。「Delta は TI との共同イノベーション ラボの設立を通じて、デジタル制御や GaN 分野における TI の豊富な経験や高度なテクノロジーを活用し、EV 電源システムの電力密度や性能の向上を目指しています。より最先端の製品開発と設計能力により、さらに緊密なテクノロジーの連携とコラボレーションを実現し、製品開発を加速しながら製品の安全性と品質を向上させることを目指しています。テクノロジー分野で両社の優位をいっそう拡大し、急速に発展しているEV市場で WIN-WIN の状況を作り出せることを期待しています」

次世代の車載電源ソリューション開発における 3 つの段階

  • 提携の第 1 段階では、TIの 最新の C2000™ リアルタイム マイコン (MCU) と TI 独自のアクティブ EMI (電磁干渉) フィルタ製品を使用した、Deltaによる軽量でコスト効率の高い11kW のオンボード チャージャの開発に焦点を当てています。両社は、TI の製品を使用し、チャージャのサイズを最大 30% 小型化すると同時に、最大 95% の電源変換効率の達成に向けて協力しています。
  • 第 2 段階では、TI と Delta は、車載アプリケーション向けの最新の C2000 リアルタイム マイコンを活用し、最も厳しい自動車安全要求である ASIL D までの自動車安全度レベル(ASIL)を自動車メーカーが達成できるようサポートします。高度に統合された車載用絶縁型ゲート ドライバにより、オンボード チャージャの電力密度がさらに向上し、同時にソリューション全体のサイズも最小限に抑えられます。
  • 第 3 段階では、GaNテクノロジーを使用した製品の開発と製造におけるTIの10 年以上にわたる経験を活かし、両社は協力して次世代の車載電源ソリューションを開発します。

「車載アプリケーションにおけるエレクトロニクスの急速な成長は、より機能が豊富で効率的、かつ安全な自動車を具現化してきました。しかし、技術的な課題はまだ残っています」と、台湾、日本、韓国、南アジアの地域担当社長を務める Luke Lee (ルーク・リー) は述べています。「55 年にわたる台湾での経験と車載パワー マネージメントにおける数十年の経験と相まって、TIは台湾の自動車業界と強い関係を築いてきました。今回のDelta との協業や共同イノベーション ラボの設立は、TI が自動車の電動化を推進させるための一つの方法にすぎません」

※C2000 は テキサス・インスツルメンツの商標です。すべての登録商標およびその他の商標はそれぞれの所有者に帰属します。